野毛山動物園で不動の人気を誇るインドライオンのラージャーくん。
いつもラージャーくんの前では、たくさんのお客さんで賑わっています。
今日はラージャーくんの生い立ちなどをご紹介したいと思います。
ズーラシアにてインドライオンのラージャーくん誕生!
2008年2月11日、よこはま動物園ズーラシアにて誕生!ところが寒さのためか発見されたときは瀕死の状態でした。そこで飼育係が親代わりとなって育てることになりました。
ワクチンを打つまでは親代りの飼育係も白衣を着ていました
2008年2月11日にズーラシアのヨハン(父)とウーマ(母)の間に6番目の子供として生まれたラージャーくん(双子でした)。
残念ながら1頭(オス)は翌日に亡くなりましたが、瀕死だったラージャーくんは人工保育で命をつなぐことができました。
野毛山動物園の名物飼育員さん(当時ズーラシア)、田島さんがラージャーくん育ての親なんですね。
相当大変だったかと思います。
それにしても、、、生まれたてのラージャーくんが可愛すぎます。
ラージャーくん順調に成長していきます
その後は特に体調を崩すことなく、すくすくと元気に成長しました。体力づくりとして事務所内をよく散歩させていました。
体重測定は、はじめは箱に入れて体重を量っていましたが、体がおおきくなってからは飼育係が抱いて量っていました。
持病もなくとにかく元気だったそうです。(あえていえば左右で目の色が違うこと)
そして、いつも事務所内を自分の家のようにトコトコ歩いていたそうです。
この姿は見ていて可愛くてたまらないでしょうね!
体重測定のときも、ぬいぐるみのように、大人しく抱っこされているのが、なんとも可笑しいです。
ラージャーくん初めて運動場へ
生後7か月頃になると初めてインドライオンの展示場へでました。慣れるまでは飼育係も一緒でした。
それから2か月。体も大きくなりました。牙や爪も成長し、ラージャーは遊びのつもりでも人間は大怪我をしてしまうため、飼育係はデニム生地の上着とレザーグローブを着用しています。
7ヶ月にもなるとだいぶ大きいですね。
いくら甘えん坊でおとなしいラージャーくんでも、遊んでいたら危険です。
ズーラシアはとても広いですから、ラージャーくんも無邪気に走り回っていました。
しかし、、、そんな無邪気すぎるラージャーくんに悲劇がおこるのです。
ラージャーくん危機一髪! 1歳のときにある事件が発生!
展示場に出ていたラージャーが約3m下のモートに転落してしまいました。
目撃談によると、蝶を追いかけていたとか、いなかったとか…。ケージに入れて、引き揚げました。
飼育係も、しばらくラージャーと一緒の空間に入っていなかったため、ケージに入れるときは内心ドキドキだったそうです。
飼育員さんたちは覚悟を決めて、モート下に引き揚げ用のケージを用意したそうです。
人工保育で育ち、まだ1歳のラージャーくんとはいえ、猛獣ライオンですからね!
とはいえ、ラージャーくんは自分からケージにトコトコと入っていったそうです。
そのとき、バツが悪そうに「ごめんなさい」みたいな顔をしていたとか(笑)
そしてその後もラージャーくんは3度モートに落ちました。
モートに落ちないように、電柵対策をしたにもかかわらず。
田島さんはおっしゃいました。
「普通は1度落ちれば学習してモートに近づかないのに、この子は3度落ちました。学習能力のないバカです(笑)」
それでラージャーくんの紹介案内にはこのように、
おっちょこちょい
と、案内されています。
バカと書くのもなんだし、おっちょこちょいと書かれたそうです。
最初の案内では、
「食いしんぼう」の下に「人間だいいすき」と書かれてましたが、ちょっとホラーな感じを想像させるので、真ん中におっちょこちょいが入りました。
ラージャーくん立派に成長
色々あったラージャーも立派なオスライオンへと少しづつ変わっていきました。タテガミはまだ少なめです。
4歳の頃になるとタテガミもほぼ生えそろいました。肉にかぶりつく姿が迫力満点です。
なんだかジーンときますね。
まるで自分の子供の成長日記を読んでいるかのような錯覚を覚えてしまいます。
タテガミが立派になるとさすがに迫力ありますね。
祝!! ラージャーくん野毛山動物園に来園!!
モート事件以降、ラージャーくんは非公開のバックヤードで過ごすようになります。
ラージャーくん自身もモートの恐怖がトラウマになったのか、外に出たがらないニートなライオンに成長。
なんだかとっても可哀想なラージャーくんです。
そんなラージャーくんにピッタリな動物園があるじゃないか!
モートなんてそんな立派なものがハナから無く、部屋もせまくてニート生活を満喫できる(ゴメンナサイ!)野毛山動物園です。
野毛山動物園は昭和な造りなので、人と動物の距離が短いです。
人前に出ることに慣れていないことが心配だったようですが、持ち前の優しさとおっとりした性格ですぐに新居にも慣れました。
それどころか、ライオンらしからぬ優しい風貌からあっという間に人気スターですよ。
適材適所という言葉がありますが、
「野毛山にラージャー」
目からうろことはこのことです。
今年6月には同じくズーラシアからスマトラトラのミンピちゃんがお隣さんになりました。
ラージャーくん、いつまでも楽しく健康に長生きしてほしいです!
そして、スタッフの皆さまにも感謝・感謝です!
本日オススメの一品
元々、ラジオミュージカルとして制作されましたが1969年に絵本として刊行されます。
翌1970年には手塚治虫さんの手でアニメ化されました。
内容は「心が温まる」「考えさせられる」のふたつが入り組んだ複雑な気持ちになりました。
オチはあえてここでは書きませんが、約50年前に発表された作品が現代でも通用してしまうのが、なんといいますか「人間はラージャーくん以上に学習能力が無いな」と言わざるを得ないと感じてしまいます。
ラージャーくんは、素晴らしいスタッフに囲まれた素敵な場所で暮らしているので絵本のような結末にはならないでしょうね!(あ、オチを言ってしまった)